アキレス腱断裂

Question

タンブリングを練習しているのですが、アキレス腱周辺がけっこう痛んで、病院で診てもらった結果、アキレス腱炎と診断されました。

練習は、マット1枚のみで、タンブリングバーンでも何でもないただの床の上です。

現時点で、練習後は階段の上り下りが辛かったり、つま先立ちも正座もうまくできない状態です。

痛くなる分には、なんとか我慢できるのですが、これがアキレス腱断裂につながらないかとても心配です。

良いトレーニング方法、ケアの仕方などありましたらぜひ教えてください。

Answer

アキレス腱断裂とは

アキレス腱断裂は、スポーツ障害の中でも発生頻度は高く前十字靭帯断裂と並んで最も重傷度の高い疾患です。

アキレス腱を断裂すると「ブチッと音がした」など音や衝撃を感じる人が多く、痛みはさほどないそうです。アキレス腱部分を触るとへこんでいて、つま先立ちができない場合は、断裂と判断できます。

治療は主に2種類。糸で断裂したアキレス腱を縫い合わせてギプスで固定する「手術療法」と、つま先を伸ばした状態で足をギプスで固定し、自然にアキレス腱がつくのを待ってから、徐々に足首が直角になるようにギプスを巻き替えていく「保存療法」。ギプス固定期間トータル約二か月。

手術療法の方がギプスや装具が外れる時期が2~4週間早く、保存療法は手術による感染症のリスクがなく傷痕が残らないメリットがあります。

保存療法・手術療法を問わず、アキレス腱断裂の治療における最大の合併症は再断裂です。

再断裂に関し、手術療法で1.7?5.4%程度、経皮縫合で7.1?10%程度、保存療法で10.7?20.8%程度と報告があり、手術療法より保存療法の方が再断裂の危険性が高いですが、近年は超音波検査[エコー検査]などによる画像診断に基づいた保存療法の施行により10%以下に改善しています。

発生時期は受傷後早期の2カ月以内に多く、特に固定を外し活動性が高くなった時に生じやすいので注意が必要です。

アキレス腱断裂 Minds版ガイドライン

つま先立ちの練習や軽いジョギングなどのリハビリを経て、5~6カ月後に簡単なスポーツに復帰できます。ただし、けがの前と同程度まで動けるようになるのは、個人差もありますが、手術療法、保存療法とも1年程度かかるとされています。

私も整形外科勤務時代は医師の指示のもと、保存治療により競技復帰までのリハビリテーションを実施していました。断裂された患者さんの辛そうな顔が今でも目に浮かびます。

アキレス腱断裂の前ぶれ

痛みを我慢せず、今すぐ休養してください。 アキレス腱断裂の前駆症状[前ぶれ]として、約20%の人がアキレス腱部に何らかの異常を感じていたとされているので、アキレス腱部の異常を感じた場合、十分なストレッチなどの準備運動や休養が大切です。

多くの場合、アキレス腱にかかる過大な力や、ふくらはぎの筋肉の筋力や柔軟性の低下によって、長期に及ぶアキレス腱部位の痛みを伴う炎症が続くと、アキレス腱周囲の組織やアキレス腱自体の微少な損傷が繰り返されて、硬い、太い、厚い組織が生じると考えられています。

アキレス腱断裂 Minds版ガイドライン

アキレス腱断裂の好発年齢のピークの1つは30歳代と40歳代にあり,その理由はアキレス腱の退行性変性による肥厚の存在にあると考えられていますが、

実際にはオリンピック候補にまでなった20代の体操選手が、両方のアキレス腱靭帯を断裂し、そういったケガがもとで引退された例もあります。

アキレス腱断裂でリオ五輪断念…女子体操界エース・鶴見虹子「最後の戦い」

体操も新体操で行うタンブリングもそれほどリスクの高い競技だといえます。

アキレス腱断裂予防&術後再断裂予防のトレーニング

アキレス腱断裂の前駆症状である『アキレス腱炎』とは、いわゆる「使い過ぎ(overuse)症候群」の状態ですが、アキレス腱に過剰な負担がかかる原因には、体の使い方や靴・路面、競技の練習量やその内容などが影響します。

アキレス腱炎を起こしやすい動作

以下のような動作を繰り返すことで、アキレス腱全体、もしくは部分的(内側や外側など)に負担が蓄積します。

  • ジャンプの着地や踏み込み
  • 前後を切りかえすダッシュ
  • 走行の方向転換
  • 曲線の走行

アキレス腱に違和感がある以上無理は禁物です。完全に痛みが引いてから復帰したほうがいいです。その間は、アキレス腱にストレスが集中しないように「着地の衝撃を全身に分散」できるようにイメージトレーニングをしてください。

具体的には肩の力抜きのトレーニングです。肩に力がはいっていると全身で上手く衝撃を吸収できずに、膝やアキレス腱に過度に負担がかかってしまいます。

またそれと同じくらい、ふくらはぎ(腓腹筋、ヒラメ筋)を鍛えたり、スネの筋肉(前脛骨筋)や大腿筋、殿筋、腸腰筋、脊柱起立筋などもバランスよく鍛え、更に筋肉や腱が硬いと、運動時に引き伸ばされる力が強くなり負担が蓄積してしまうので、ストレッチなどにより柔軟性を向上させる必要があります。

マルアライメントの改善

非接触型の受傷原因としてマルアライメントが大きく関わっていることがわかっています。『マルアライメント』とは正常時と比較して逸脱した関節の配列のことをいいます。 代表的なものが『knee-in-toe-out』というつま先が外を向いて、膝が内に入っている姿勢です。

この姿勢では体重が正しく踵にならない為、着地時の衝撃を上手く吸収できなかったり、踵に付着しているアキレス腱の能力を最大限に生かすことが出来ません。

改善には時間がかかりますし根気がいります。

ウィンドウィローでは動作時の関節の配列(アライメント)の評価をしっかりと行い改善のお手伝いを致します。

ウィンドウィローが出来る事

スポーツを今後長く高いレベルで続けていくには、いかに効率よく体を使うかにかかっています。無駄な力みのある非効率な体の使い方をすることによって、ケガをしやすくなり、パフォーマンス力も低下してしまいます。

ウィンドウィローでは手技で体を緩め、体幹を強くし、更に効率よく体を使うコツを懇切丁寧にお伝えいたします。