バスケットボール

Question

肩甲骨を使えばシュートの距離やパスの距離が伸びると聞きました。具体的にはどのように使えばいいのですか?

Answer

平昌冬季五輪で、スピードスケート女子500メートル、日本選手団主将の小平奈緒選手が36秒94の五輪新で優勝して金メダルを獲得しました。

その強さの裏には、日本の「古武術」があったそうです。

小平選手は,コーチである結城氏にバイオメカニクス的な観点を学び,さらにトレーニングを積み重ね,そしてそこに古武術的な体の動かし方の要素を取り入れることで,大きな成果を上げた.

スポーツバイオメカニクスと古武術-高橋 佳三

古武術をバスケに応用

古武術とは「しなやかで滞りのない動き」と思っていただければいいです。

肩甲骨を使えばシュートの距離やパスの距離が伸びるというのは、肩甲骨を柔らかく使うことによって、手首や肘だけの力に頼らなくなるということです。

バスケのシュートやパスは、下半身からのエネルギーを滞りなくどれだけボールに伝えられるかで距離が変わります。

せっかく下半身で大きなエネルギーを生み出せても肩甲骨、肘、手首、指に力が入っているとそこでエネルギーの流れが止まってしまいます。

車椅子バスケットボールはもっとシビアですよね。腰からでしかエネルギーを生み出せないので、その貴重なエネルギーを無駄なく伝えないといけません。

そのためには腕の「力み」を完全になくす必要があります。腕の力に頼っていた意識を変えるのです。

遠くまで飛ばそうと肩や手に力を入れてしまうと腕の筋肉しか使えません。ですが、下からのエネルギーをボールに伝えるという意識で動くとそれだけで全身の力が協力してくれるのです。

バスケットボールにおける技術

トリプルスレットの基本姿勢

ボールを保持しているときに、パス、ドリブル、シュートという三つの基本動作へスムーズに移行できる姿勢のことをトリプルスレットといいます。このトリプルスレットに関しては、人によって様々な定義づけがされていますが、基本的には腰を落とした強い姿勢で、自分が一番保持しやすい位置にボールを構えるという基本姿勢のことを指すのが一般的です。

トリプルスレットの基本姿勢は、パス、ドリブル、シュートのいずれの動作にも移行できるという姿勢なので、下半身に力がたまった状態である必要があります。腰を落として重心を低く、ディフェンスに当たられても軸がぶれない強い姿勢が理想的です。

チェストパスの基本姿勢

チェストパスは、自分の胸元から両手で押し出すようにボールを送る基本的なパスです。コントロールしやすく、正確性に秀でているため、ゲーム中も頻繁に使用されます。基本は胸にセットしてパスを出しますが、そうすることで逆にひじを張り過ぎてボールに効率よく力が伝わらない場合が生じます。したがってセットする際はできるだけ力まないことを心がける必要があります。

相手ディフェンスのパスカットを防ぐためには、スピーディで勢いのあるボールを送る必要があります。ボールにパワーを与えるには、身体全体の重心移動、とくに下半身の力が重要です。体重が後ろに残っているようでは、当然力は伝わらず、手投げパスは失敗する確率が高くなります。

バスケのシュート技術

シュートを打つときは身体全体を連動させるのです。

ボールを持って肘を曲げておでこ付近に持って来て それと同時に膝を曲げて膝を伸ばしながらタイミングよく肘を伸ばします。その方が体全体の力がボールに伝わって無駄な力を入れなくても遠い距離でも届きます

一方で身体に連動性がないと腕の力だけでシュートを打つことになるので距離が出ないばかりか、安定性も低下します。

  • 左手はソフトにそえる
    シュートは右手だけで打つ感覚を持ちましょう。左手に無駄な力が加わってしまうと、シュートの軌道にぶれが生じます。左手はボールを安定させるぐらいの感覚で、横からそっと支えるようにしましょう。
  • 右ひじから右ひざのライン
    下半身の力をボールに伝えるため、体の軸をまっすぐに揃える必要があります。この軸とは、右のひじ、肩、腰、ひざを繋ぐラインのことで、これがぶれてしまうと飛距離やコントロールに悪影響を及ぼします。
  • 足は肩幅に開く
    シュートにおいて、下半身はもっとも重要なポイント。上半身がコントロールを、下半身が飛距離を生み出します。セットした時は肩幅を開き、右足を半足分前に出します。軽くひざを曲げて力をためた状態に。

全体的に初心者 B は熟練者 A より分散値が高いことから,熟練者 A より安定性がなくシュートフォームが確立していないことが分かる.

また,シュート構え状態で熟練者 A より足を曲げていないことから,足の伸展力をあまり利用せずにシュートを打っていることが推測できる.そして,

シュート後の状態では腕を伸ばし切っていないことから,熟練者 A より腕の伸展力を利用していないことが分かる.反対に熟練者A は全体的にフォームが安定していて,足や腕の伸展力を十分に利用しているといえる.

バスケットボールのシュート時の熟練者と初心者の全身フォーム比較分析と学習支援環境の設計-安松谷 亮宏 曽我 真人 瀧 寛和

そのためには力まない技術を身につけることとしっかりとした体幹=軸を作ることが必要になってきます。

バスケットボールの上達に必要なトレーニング

バスケットボールはストップ(減速)&ゴー(加速)、多方向に対する切り返し、状況判断からのクイックネス、爆発的パワー、動的柔軟性などが要求されます。

対人スポーツであるので、相手選手の動きに対応することが多く、その状況判断から動作決定が行なわれます。

すべての動作に急で不意な動作を要求されるスポーツです。

「筋肉を鍛えるな,動きを鍛えろ」

ユース育成方針 詳細資料-公益財団法人日本バスケットボール協会

闇雲に筋肉をつけるよりも基礎体力を競技特性に適用させることが重要です。

「特異性の原則」とは、「運動の効果は、実際にトレーニングをした部位にしか表れないという原則」であり、どんなにキツいトレーニングを行っても、それが競技特性と結びつかなければ意味がないと言い換えることができます。

せっかく向上させた基礎体力が試合に生かされないのでは本末転倒ですね。

ただし、特異性の原則を考慮しつつも全面性に基づくトレーニングや、個々の身体特性に基づく弱点要素を強化するためのトレーニングを行なう必要性はあります。

バスケットボールで障害を受けやすい部位

バスケットボール競技はほとんどコンタクトスポーツ といっても過言ではないです。接触による傷害は多く、打撲・挫傷が特に多いです。

また加速や減速の繰り返し、多方向への切り返し動作、ジャンプ動作・着地動作に関連した傷害発生が多いです。

バスケットボールの経験が少ない女子選手ほどストップ動作で膝・股関節の屈曲角度が少ない場合や膝関節を中心にして、膝関節を曲げて止まっていることが多くみられます。

一方、バスケットボールの経験年数が長く、十分な指導を受けている女子選手や男子選手はそれほど教えなくても、股関節を曲げて正しいパワーポジション(かまえの姿勢)をとることができます。

私たちは、ジャンプ着地やストップ動作で「股関節を曲げる」「柔らかく着地をする」ことをポイントとして指導しています。

傷害予防に役立つ指導のポイント-大見頼一

ケガを予防するには、アジリティや体幹、姿勢、運動連鎖など考慮してトレーニングを行うことが重要です。

マルアライメントの改善

非接触型の受傷原因としてマルアライメントが大きく関わっていることがわかっています。『マルアライメント』とは正常時と比較して逸脱した関節の配列のことをいいます。 代表的なものが『knee-in-toe-out』というつま先が外を向いて、膝が内に入っている姿勢です。

この姿勢でプレーを続けていると前十字靭帯や内側側副靭帯、内側半月板を同時に損傷するリスクが高くなります。この状態を『不幸の三徴候(アンハッピー・トライアド)』といい予後も悪くなる傾向にあります。

改善には時間がかかりますし根気がいります。

ウィンドウィローでは動作時の関節の配列(アライメント)の評価をしっかりと行い改善のお手伝いを致します。

筋肉のアンバランスを整える

バスケットのプロ選手のトレーニングは、一見するとあまりかたよっているように見えないです。それでも、プロの場合何年にも渡って大体規則的に1日に2回はトレーニングがあるため、同じフォームのトレーニング負荷を常に反復してかけ続けることになります。そうなると、動きはいくら多様であっても、それらが蓄積されれば確実にかたよってくることになります。

常に同じ動きを何度も何度も繰り返すことで、脊柱や股関節、ひざ関節などに圧迫、牽引力、捻り、せん断力といった負荷が繰り返しかかります。人間の身体は驚くべき適応能力を持っていて、ある程度の負荷がかかっても長い間持ちこたえることが出来ます。ですがある日、その限度をわずかに超えてしまうことで、それまでトレーニング刺激に対しポジティブな適応をしていたものが、そのバランスが崩れ、ネガティブな反応が起こるようになります。

このようなネガティブな適応が現れ始める兆候となるのが、いわゆる筋のアンバランス、関節と筋の関係のバランスの崩れです。バランスが崩れると以下の点に影響が出ます。

  • 筋力
  • 伸展および緊張緩和能力
  • 個々の筋および筋群の神経コントロール

バスケットの特徴として、シュートやランニングのトレーニングでは、伸筋の筋力が屈筋よりも強く要求されます。コンディショニングトレーニングにおいても、伸筋の方がより積極的にトレーニングされています。なぜならこれが脚の筋の中でも特に重要な「パフォーマンスの担い手」 になるからです。シュート力やダッシュのスピードは、この筋群の筋力に頼っています。そしてその筋力を最大限有効に使う方法が筋緊張の緩和(脱力)なのです。

バスケットボール選手のためにウィンドウィローが出来る事

バスケットボールを今後長く高いレベルで続けていくには、いかに効率よく体を使うかにかかっています。無駄な力みのある非効率な体の使い方をすることによって、ケガをしやすくなり、パフォーマンス力も低下してしまいます。

ウィンドウィローでは手技で体を緩め、体幹を強くし、更に効率よく体を使うコツを懇切丁寧にお伝え致します。