私は高1です。新体操をしています。身長161センチで体重は45キロ後半?46キロ前半です。が、体重のコントロールがうまくできずに、先生に怒られてしまいます。目標体重は46キロなので、46.0でも怒られます。食べることより、飲むことが止められず、ほぼ毎日、下剤を使用してしまいます。こんな状態で新体操を続けて大丈夫でしょうか?
エネルギー不足で無月経、疲労骨折を招くリスクがあります。
スポーツ先進国である米国でも、競争の激しいアスリートの世界で、パフォーマンス向上のため、摂食障害などの問題が大きな議論となっていて、とくに新体操、バレエ、フィギュアスケートなどのような審美系のスポーツに多いそうです。
日本と米国との違いは、米国は問題意識を大きく持って、多くの論文を報告している点と、各トレーナーが栄養学を学び、アスリートを教育するという栄養指導の専門家が普及している点です。しかし日本では、男女の違いを考慮せず、また必ずしも科学的根拠に基かずに行われてきました。
スポーツに打ち込む女性の大半は思春期から閉経期までの女性であり、周期的に変化するエストロゲンにより、体調がコントロールされています。こうした女性特有の生理現象を理解しないスポーツ指導は、効果が上がらないばかりでなく、逆にけがを誘発したり、体調の悪化を招いたりする危険性があります。
近年,女性選手特有の健康問題について取り上げられる機会が多くなり,産婦人科医の立場から選手を支援する動きが広がりつつある.選手の健康問 題について,2014 年国際オリンピック委員会では,すべてのアスリートにとってRelative Energy Deficiency in Sports(RED-S:スポーツにおける相対的なエネルギー不足)は,代謝や循環器,免疫,発育,骨,月経等全身に影響を与えパフォーマンス低下をもたらすとし,「運動による消費エネルギーに見合った摂取エネルギー」の重要性について警鐘を鳴らしている
アスリートの月経周期異常の現状と 無月経に影響を与える因子の検討 ?大須賀 穣 東京大学大学院 医学系研究科産婦人科学 教授(PDEファイル)
「女性アスリートの三主徴」
アメリカスポーツ医学会が定義する、『low energy availability(利用可能エネルギー不足)』『無月経』『骨粗鬆症』のいわゆる「女性アスリートの三主徴」はスポーツにおける相対的なエネルギー不足の概念のうち女性アスリート特有の問題に着目した定義です。
女性アスリートでは、このエネルギー不足による身体への影響のみならず、無月経に伴う低エストロゲン状態により更なる健康への弊害がもたらされる可能性があり、エネルギー不足を予防し低エストロゲン状態をいかに回避するかが女性の健康を守る上で重要となります。
特に、エネルギー不足や低エストロゲン状態による骨量低下は、生涯に渡る骨折のリスクのみならずアスリートにおいては疲労骨折のリスクを高める可能性についても報告されています。
low energy availability(利用可能エネルギー不足)とは
「low energyavailability」とは、運動によるエネルギー消費量に対して、食事などによるエネルギー摂取量が不足した状態をさし、この状態が続くと、卵巣を刺激する脳からのホルモン分泌(黄体形成ホルモンなど)が低下したり、骨代謝などを含む身体の諸機能に影響を及ぼすと考えられます。
新体操における障害で最も多い疲労骨折
1.新体操における障害は,疲労骨折が最も多く 18例,次いで腰痛疾患 17 例と,急性障害(急性外傷)ではなく慢性障害が多いことが明らかとなった。
2.疲労骨折は,実施頻度が多い徒手難度の軸足または踏切足に発生する傾向にあることが示唆された。
新体操における障害の発生と競技ルールとの関連 ?村田由香里 表現運動研究室/スポーツ救急医科学研究室(PDEファイル)
体脂肪率が低くなる傾向にある審美系のスポーツである新体操は多くの選手が減量をしているそうです。それがエネルギー不足に陥っていると考えられます。
『ただ細いだけでなく、強くて美しい身体を持った新体操選手が増えていくことを願っています。』
新体操日本代表チーム・フェアリージャパンPOLAの元メンバーの遠藤由華さんの言葉です。
2008年北京五輪ではチーム最年少(当時17歳)ながら、中心的メンバーとして躍動。2012年ロンドン五輪での活躍もおおいに期待されていましたが、2012年5月にブルガリアの大会での演技中に左脚大腿骨を骨折。ロンドン五輪出場はもちろん、競技生活に戻ることも叶いませんでした。そんな自身の経験から警鐘を鳴らしています。
日本代表、大ケガ、復帰断念そしてコーチに・・・新体操・遠藤由華が今一番伝えたいこと
疲労骨折とは
疲労骨折(ひろうこっせつ)は、一度では骨折に至らない程度の応力が、骨の同一部位に繰り返し加わることにより発生する骨折である。 また、この骨折は女性運動選手の3主徴とされる、骨粗鬆症、無月経、摂食障害の徴候とされています。
疲労骨折は,様々なスポーツにおいて発生しています。
疲労骨折が多発しているスポーツ動作としては、ランニング、ジャンプ、爪先立ちです。
足への負担を減らすために試行錯誤されたシューズを履いている陸上競技やバスケットボールとは異なり、新体操ではシューズとは名ばかりで、ローテーションが回りやすいように、またつま先が綺麗に見えるために履くものであり、靴下と同じような素材を使用しているため足への衝撃は裸足に等しく、他競技よりも足にかかる負荷が大きいのです。
その他の要因
- オーバーユース
- 筋力不足、柔軟性不足など身体的問題
- 足底アーチの低下、ニーインなどアライメント不良
- 誤った体の使い方
マルアライメントの改善
疲労骨折にはマルアライメントが大きく関わっていることがわかっています。『マルアライメント』とは正常時と比較して逸脱した関節の配列のことをいいます。 代表的なものが『knee-in-toe-out』というつま先が外を向いて、膝が内に入っている姿勢です。
この姿勢で練習を続けていると足に加わる衝撃を上手く吸収できないために、疲労骨折のリスクを高めます。また、疲労骨折に次いで多い腰痛症など、その他の障害にも大きく関わってきます。
改善には時間がかかりますし根気がいります。
ウィンドウィローでは動作時の関節の配列(アライメント)の評価をしっかりと行い改善のお手伝いを致します。
新体操選手のためにウィンドウィローが出来る事
新体操を今後長く高いレベルで続けていくには、いかに効率よく体を使うかにかかっています。無駄な力みのある非効率な体の使い方をすることによって、ケガをしやすくなり、パフォーマンス力も低下してしまいます。
ウィンドウィローでは手技で体を緩め、体幹を強くし、更に効率よく体を使うコツを懇切丁寧にお伝えいたします。