速く走るコツ

Question

高校一年生で陸上競技部で短距離をしています。私はつま先から接地していて、体にブレーキがかかる様な走り方になっています。その癖を直したいのですが何かいい練習方法はありませんか?

Answer

ブレーキがかかる様と仰っているので、ひょっとしたら着地のイメージがやや前よりかもしれません。ですので若干着地のイメージを後ろにシフトしてみてはどうでしょうか。

走運動に限らず、歩行などの運動でもヒトを前方に推進するのは地面がヒトに及ぼした力(床反力)の結果です。

走る時には地面からの床反力(地面からの反発力)を上手く利用する必要があります。体の真下で接地した際に発生した床反力を、体後方から前方に通すようなイメージで走るのです。

床反力とは

床反力は身体が床面を押す力の反発力なので、ヒトが重心移動しながら動けるのはこの床反力という地面からの反発力を使い(制御し)ながら筋肉を作用させはじめて、ウォーキングやランニングなど重心移動する運動ができるのです。

接地は優しくです。そして足が体のやや後方に来た時に、床反力を「反対側の前足が体を前へと進めるための推進力」にするのです。

それを実現するには、足関節や膝関節を柔軟に使い、接地の衝撃を緩衝しながらスムースに重心移動に繋げる技術が必要です。

最近、世界の一流ランナーの走りの分析から、「足の前部分で接地する」ことが有効であると言われている。一流ランナーは、足関節や膝関節を柔軟に使い、接地の衝撃を緩衝しながらスムースに重心移動に繋げる技術を持っているからであろう。

一方、一般のランナーは、「足の前部分」で接地しようとして「つま先」を使うので、接地の際に足関節や膝関節に力を入れ固定するので、ブレーキを掛け衝撃をもろに受けることになる。その結果、足底筋や中足骨、ふくらはぎやアキレス腱への負担は大きく、障害を起こす原因となっている。

日本マスターズ陸上競技連合-ランニング障害は接地を変えれば解決 怪我せず気持よく走れる走法のヒント

そういった技術を身につけるには全身の力みを無くさなければいけません。走る時肩に力は入っていないですか?力が入っていると足関節や膝が硬くなり床反力を上手く利用することが出来ません。

また体の中にある振り子のパワーを使うことも出来なくなります。コツは手に力を入れないことです。腕を振った時に脇が開いていると要注意です。

走りにおいて必要な技術

芯の通った脱力

肩の力を抜くことによって腕をしっかりと振ることが出来るようになる。すると、体幹や骨盤にエネルギーが伝わり、それが前方への大きな推進力となります。ただし、脱力=腑抜けではないです。

短距離スプリントのように、明らかに身体が前傾している場合、腕によって生み出される上方向への揚力は前方向の成分を持ち、水平方向の推進に直接貢献し得る。このことは、腕を動かす筋が、短距離スプリントにとって非常に重要となる可能性を示唆している

Warren Young、Dean Benton-短距離&最大スピードでのスプリント のためのレジスタンストレーニング
  • 肩甲骨を柔らかく動かす
    肩、腰には余計な力を入れず、リラックスした状態で腕を振って肩甲骨をしっかり動かす。
  • 骨盤をしっかり動かす
    骨盤から動いて脚を前に出す。腰が引けることなく、上半身をまっすぐに保つ。また、骨盤と体全体をほんの少し前傾させて、重心を前に持っていきます。
  • 着地した足に上半身をまっすぐにのせる
    着地の瞬間体を一本の棒のようにする。これによって、着地の衝撃をしっかり体幹で受けることができ、地面からの力を推進力に換えることが出来ます。
  • 体が宙に浮いた瞬間に大きく前へ
    体が宙に浮いているとき、骨盤から脚をグッと前に出し、大きく前進する。

走りに必要なトレーニング

身体は課せられた刺激に対して特異的に適応します。

トレーニング効果はそのトレーニングの内容により、特異的に向上するので陸上の短距離選手が球技をしたり泳いだりしても100mの記録は伸びないということです。

これは筋力トレーニングを行う場合も同じです。 競技特性を考えた上でどこの筋肉をどのような動作で鍛えるのかを考えなければトレーニング効果は望めないということです。

ただし、傷害を防ぐためには、非特異的なトレーニングも必要になります。

トレーニングの特異性の原則は広く知られているが、これはトレーニングを効果的なものにするために競技の要求に近づけるべきであるというものである。

一般的に、トレーニングが特異的になればなるほど、競技パフォーマンスへの移行はスムーズになる。

しかし、ペリオダイゼーションプログラムにおいては、最も重要とされる資質のレベルを高め、傷害を防ぐ「基礎」をつくるために、一般的トレーニングあるいは非特異的トレーニングを実施する必要があり、一般的に、試合などのピークが近づくにつれてトレーニングの特異性のレベルを増大させるべきであるとされている

Warren Young、Dean Benton-短距離&最大スピードでのスプリント のためのレジスタンストレーニング(PDEファイル)

特異性とは、簡単に言うとコンディショニングプログラムにおいて、可能な限り試合の動作を模倣することを意味します。

短距離走などで障害を受けやすい部位

短距離・跳躍(ハードルを含む)は瞬発的な身体移動を行う種目です。

できる限り速いピッチと大きなストライドが求められたり(短距離)、より大きい蹴り出しの力で大きく重心移動させたり(走幅跳び、三段跳び、走高飛び、棒高跳び)、走りに障害を越えることが加わる(ハードル)という各々の特徴があります。

これらの種目では大きな推進力を生むために下肢の筋活動が要求され、下肢の大きな筋である大腿四頭筋・ハムストリング・腓腹筋などの急性の筋損傷(肉離れ)や、これらに連続する腱(膝蓋腱・アキレス腱・足底腱膜など)の腱症、高い衝撃が反復して加わる骨(脛骨・舟状骨・中足骨)の疲労骨折が起こりやすいとされています。

マルアライメントの改善

非接触型の受傷原因としてマルアライメントが大きく関わっていることがわかっています。『マルアライメント』とは正常時と比較して逸脱した関節の配列のことをいいます。 代表的なものが『knee-in-toe-out』というつま先が外を向いて、膝が内に入っている姿勢です。

この姿勢でプレーを続けていると前十字靭帯や内側側副靭帯、内側半月板を同時に損傷するリスクが高くなります。この状態を『不幸の三徴候(アンハッピー・トライアド)』といい予後も悪くなる傾向にあります。

改善には時間がかかりますし根気がいります。

ウィンドウィローでは動作時の関節の配列(アライメント)の評価をしっかりと行い改善のお手伝いを致します。

速く走るためにウインドウィローが出来る事

陸上競技を今後長く高いレベルで続けていくには、いかに効率よく体を使うかにかかっています。無駄な力みのある非効率な体の使い方をすることによって、ケガをしやすくなり、パフォーマンス力も低下してしまいます。

ウインドウィローでは手技で体を緩め、体幹を強くし、更に効率よく体を使うコツを懇切丁寧にお伝えいたします。