平泳ぎのタイムがなかなか伸びないのが現在の課題です。 どうすればタイムが伸びるのでしょうか?
理想的なスイミングフォームとは形で表現するというより、むしろカラダに力みが生じていない、指の先まで余分な力が抜けている泳ぎを指しています。全身を水に任せ、水の浮力を最大限に生かせている状態です。ひとかきひとかきを一定のリズム保って行うことが重要です。
力みは「速く泳ごう」という気持ちから生まれます。ですので心のコントロールのトレーニングを普段のトレーニングに加えると良いです。
平泳ぎのキック動作
平泳ぎは4種目泳法の中で記録が最も遅い種目です。その原因は、手足の動作が水中で行われるために常に水から抵抗を受けるからです。そのため平泳ぎにおいてはこの抵抗をいかに少なくし、推進力を増大させるかが重要です。
平泳ぎは脚のリカバリー動作時に最もスピードが低下することや、全体の推進力に対するキックの貢献度が他の種目に比較して高いという泳法としての特徴があることから、平泳ぎの競技力向上のためにはキック力向上を図ることは不可欠であり,平泳ぎにおいてキックの精度を上げることが推進力を増大させることにつながります。
平泳ぎにおけるキック動作は単に足で水を真後ろへ押すのではなく,足をプロペラのように外側へ下向きに,そして内側へと回している.
単に足で水を真後ろに押す動作のみではキックによる推進力は抗力が主となり揚力が生じにくくなるために大きな推進力が生じない.
従って,足首を背屈させたり,外反させたりする柔軟性は蹴り出しの時に生み出す推進力の大きさに関係している
Yukio KITAGAWA, Shoichi KANAZAWA and Shinichirou MORIYAMA-平泳ぎのキック練習における動作と泳動作との関連性
足首を90度
平泳ぎのキックは、けのびの姿勢から足をお尻にひきつけ、足首を90度くらいに曲げ、つま先を外側にしたら、そこから足の裏で水の抵抗を感じながら一気に両脚を伸ばしていくという流れになります。脚を曲げているときの両ひざの間隔は、肩幅よりやや広いくらいで開きすぎないように注意しましょう。
3つのキック動作
平泳ぎのキックをマスターするために、プールの壁を使った「壁キック」で基本的な動きを確認しましょう。この練習は、壁に手をついて一連のキックの動きだけを集中してトレーニングをします。「カカトをお尻にひきつけ」、「足の裏で蹴り出し」、「足全体を伸ばしていく」という3つの動きに分けたキックを、上手く連動させることで効率のよいキックが生まれます。
クロールのキック動作
脚全体を使い、最後に足先を柔らかく使って水を打つように
クロールで使われるキックとは、両脚を交互に振り下ろし振り上げるバタ足のこと。脚全体をムチのようにしならせるバタ足をマスターすれば「長く、速く、楽に」泳ぐための推進力を生み出すことが出来ます。また、キックは水面へカラダを浮かせるという働きもある。カラダを沈ませずに、水の抵抗の少ないボディポジションを維持するには、力まず、ひざを曲げすぎたり伸ばしすぎたりしないことが大切になる。
効率のよいキックをするためのポイントは、振り下げた脚の力をひざを通して足首へ伝えていき、最後に足先を柔らかく使って水を打つようにして蹴ることです。まるでボールを蹴る時のように、足首のスナップを使ってみましょう。
また、キックは一定のリズムでひざと足首に余分な力の入っていないリラックスした状態を心がけてください。両脚の間隔は、開きすぎると水の抵抗が大きくなったりカラダの軸がぶれてしまうため、親指が触れ合うくらいの間隔を保つようにしてください。
スイミングにおいて必要な技術
力まない泳法
腕に力を入れて水を掻くのではなく、肩の力を抜いて肘から垂らすことで、体幹が安定し、前方への推進力が増大します。
水を掻くというのは力じゃないんです。フワッと掴んで、そこから素早く後ろに送るような感じがいいんです。掻くときの手の速度は一定じゃないんです。一定だと、水は逃げて行くんです。水を掴んでから、だんだんスピードアップしていくんです。(中略)フィニッシュで最後まで掻いていくときに、肩をしっかり下げます。下がると、反動で腕が前に出ます。リラックスしながら「腕を前に放(ほう)る」って感じです。
大阪大学・医学系研究科・健康スポーツ科学講座-トップアスリートの身体知
水中を長くかいているわりには前に進まない、と感じた人はいませんか?水をしっかりととらえていなければ、いくら長くかいても推進力は得られません。この場合、水をやわらかくとらえる「感触」とつかみましょう。
まず手を入水したら、軽く水をとらえる動き、スカーリングをします。水中で大きなS字を描くと力まかせになりがちで、水をとらえる繊細な感覚はつかめません。指先で軽く水の感触を楽しみながら、水の一粒一粒を集めるようにするといいでしょう。
《速くガムシャラに泳ぐ》
- カラダに力みが生じやすい
- 疲れやすい
- 短い距離しか泳げない
- 無駄な動きが多くなる
《ゆっくりと、正しいフォームで泳ぐ》
- カラダの動きに無駄がなく
- 力みが少ない
- 疲れにくい
- 長い距離を泳ぎ続けられる
スイミング上達に必要なトレーニング
水泳運動時の最大推進パワーは,自転車エルゴメーター運動などによって得られる最大無酸素性パワーなどのように筋力・パワー発揮の高さが反映しているだけのものではなく,より経済性高く効率よく泳ぐための技術が反映されます。
水泳運動の場合,(中略)運動強度としての泳速は,技術を反映した効率と体格一姿勢 を反映した抵抗因子も相互に関係し合って決まるため,単にエネルギー供給能力の大小のみで決まるわけではない.泳速が同じであっても,発揮されている力学的総パワーは泳者によって異なるため,エネルギー供給能力が高いからといってより高い泳速を作り出せるとは限らないからである.(中略)すなわちある決められた泳速をいかに小さいパワーで泳げたかということを大きく反映した指標と考えられる.
鹿屋体育大学-競 泳 パ フ ォ ーマ ン ス の 限 定 要 因 に関 す る検 討-MAD システムを用いた力学的・代謝的解析よりー
ある決められた泳速をより小さいパワーで泳ぐ技術、または経済性高く効率よく泳ぐための技術を身につけるうえで重要な部位が肩甲骨です。肩甲骨を意識的に使えるようになると、肩がよく回り腕の可動域も広がります。
肩の左右の動きでいうと、ローリングでカバーしていたリカバリーなどの動きが、楽に出来るようになります。これによって、体幹の大きなブレが抑えられるので、まっすぐな基本姿勢を保ちやすくなります。また、上下にも自在に動かせるようになると、無理なく前の水をつかめるようになります。
肩甲骨同様、水泳では肩関節の可動域も大切です。この肩関節は放っておくと腕が前に出てきやすいという特性があります。その状態で肩を回そうとしても、後ろには回りません。腕を前に戻すリカバリーでは、肩の後ろ側の可動域が重要ですが、関節が硬くて肩の回るギリギリのところで泳ぐと、無意識に腕に力が入って自然な動きが出来なくなります。可動域を広げ、余裕ができて初めてリラックスした動きになります。
キックの動きに必要となる股関節もスイミングにおいて重要な部位です。股関節は、骨盤が太ももの骨(大腿骨)をくるむようにつながっています。しかし、その形状の特性から、放っておくと大腿骨が前に出てきてしまいがちです。骨が正しいポジションにないと可動域も狭くなり、力も伝わりにくくなります。まずは関節を正しい位置に戻し、そのまわりの大きい筋肉を伸びやすくすることで可動域が広がります。ムチのようなキックをするためにも、日頃から可動域を広げておきましょう。
水泳で障害を受けやすい部位
競泳のスタイルとしてはバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、クロールがあります。その中で、成長期のバタフライや平泳ぎの選手に多いのが「腰椎分離症」、年齢問わずバタフライやクロールの選手に多いのが「水泳肩」、さらに平泳ぎに特徴的なのが「平泳ぎ膝」です。
腰椎分離症
繰り返し腰を反ったりねじったりすることで発症します。背骨と背骨の間の関節である椎間関節で骨が疲労骨折することで疼痛が発生するとされています。
バタフライや平泳ぎで息継ぎの際に胸椎や股関節の柔軟性が乏しく、全身を利用できないとこういった反る動作が強くなるので発生しやすいです。
水泳肩(スイマーズショルダー)
肩関節において腱板という関節を取り巻く筋肉、もしくは腱板の上にある肩峰下滑液包という袋が炎症を起こすことで発生すると言われています。
クロールやバタフライの様にリカバリーで肩を後方へ廻す事で起こります。ローリングを有効に使い肩が後方に行き過ぎるのを防ぐことが大事です。
平泳ぎ膝
平泳ぎにおいて水をすばやく蹴って推進力を得る際に膝が外反(X脚のような外側にねじれた形) 傾向になることで膝の内側にある靱帯が引きのばされて発生します。
脚を閉じることで推進力を得ようとした際に、股関節の柔軟性が落ちているために膝に無理な力がかかったり、膝の内側を補強しているハムストリングスという筋力が弱いために水からの抵抗に膝の靱帯が負けてしまい発生するともいわれています。
水泳選手のためにウィンドウィローが出来る事
水泳を今後長く高いレベルで続けていくには、いかに効率よく体を使うかにかかっています。無駄な力みのある非効率な体の使い方をすることによって、ケガをしやすくなり、パフォーマンス力も低下してしまいます。
ウィンドウィローでは手技で体を緩め、体幹を強くし、更に効率よく体を使うコツを懇切丁寧にお伝えいたします。